2007年5月2日水曜日

『不動産バブル再燃』って本当?REIT市場を分析する

不動産投資信託の過熱で、不動産価格や賃料が高くなると、利回りは低くなります。もう国債などとそんなに多くは変わらない状況になってきたようですね。だから、海外へ!なんか、イナゴの大移動みたいですな。



『不動産バブル再燃』って本当?不動産投資信託REIT市場を分析する
2007年05月02日
(Asahi.comより引用)

■本日の要点

模様眺めとなっている株式市場を尻目に、不動産投資信託REIT市場への資金流入が続いている模様です。本日は不動産投資信託REIT市場の動向が株式市場へ及ぼす影響についてレポートします。

◇今の景気はどうなのか

本日、新聞、ニュースなどで今月17日の発表になる今年1-3月期国内総生産(GDP)の速報値について、民間の調査機関の予測が報じられていました。前回の(2006年10-12月期)実質経済成長率が年率で 5.5%と高かったこともあり、今回はその反動から、15の調査機関の平均では年率2.6%の予想となっています。

しかし、内容を見てみると個人消費が牽引役となり、かつ設備投資に表れる内需と輸出から輸入を差し引いた外需が上手くかみ合い、潜在成長率といわれる1.5%~1%後半の数字を上回る予想となっています。

このように足元の景気に対する数値については、しっかりとした内容のものが出ていることから、『まだら模様』ながらも好景気が持続していると考えられます。

好景気が続くとなると、日本経済を人間の体に例えるのならば血液となる『お金』の流れが活発になります。個人では冒頭でお話した消費にお金が流れたり、企業でいえば設備投資などに流れていったりする訳です。

そして、血液の循環がよくなると企業活動の活発化につながり、その結果収益の増加、つまり企業の成長性が高まることになりますので、成長性の高い企業の株式を購入すれば同時に企業価値が高まるとの期待感から、株式投資への資金流入へつながり株式市場が活況となる訳です。

好調な経済を表すバロメーターを株式市場とするならば、もう一方では不動産、つまり地価の上昇もその一つとして考えることができます。昔から資産3分割といえば、現預金、有価証券、不動産といわれており、文字通り資産を運用する手段として株式投資とともに不動産もその一つとされています。

不動産の価格については、『地価公示価格』がもっとも認知度が高いと思いますが、この『地価公示価格』は毎年3月に国土交通省から発表されます。今年も3月に発表されましたが、その内容から首都圏や関西など主要都市の変動率が大幅に上昇しバブル期以来の伸び率になったことで『不動産バブル再燃か?』と報じられました。

不動産市場はバブルか?

株式投資に密接に関るもので不動産といえば、不動産投資信託(以下、REIT(リート))をあげることができます。REITとは小口証券の形で投資家から資金を集め不動産に投資して、賃料や売却益で配当を受け取る仕組みになっており、一般株式同様に上場され毎日売買されています。

この不動産投資信託REITが日本のみならず世界で資金流入が加速しています。現在の不動産投資信託REIT市場に流入している資金は世界で100兆円を超える規模になっており、国内市場を見ても上場されている不動産投資信託REITは3月末で37本、時価総額で6兆円を超えています。

先ほど、REITは賃料や売却益を配当で受け取るという仕組みをお話しましたが、投資家が受け取る配当利回りについて触れると、2001年に不動産投資信託REIT市場発足当初は平均で4%台半ばでした。当時は配当利回りが5%やなかには10%のものもあったと言われています。

しかし、昨今の地価の上昇や賃料の上昇期待から外国人を中心とした投資家の活発な買いが行われた結果、不動産投資信託REITそのものの価格が上昇し現在の配当利回りは平均で約2.7%と大幅に低下しています。

その結果、長期金利の指標である10年物国債との不動産投資信託の利回り格差(スプレッド)は1%近くまで低下している状況です。どういうことかといいますと、今までは長期金利と比較して不動産投資信託の利回り格差が3%強あったわけですから、金利が低い状況にもかかわらず高い配当を受け取ることができたのは、地価が上がらないまたは下落していたことから考えると、それだけ賃料が高かったということになります。

つまり、不動産投資信託REITで高い配当を受け取る投資家がいた反面、家賃支払い者がそれを負担していたということになります。

そして現在は、地価の上昇とともに賃料の上昇期待が高まり不動産投資信託REITが買われた結果、REITそのものの価格上昇により、配当利回りが低下しかつ長期金利とのスプレッドが縮小したということになります。

注目される賃料については、引き合いに出されるデータはバブル期の賃料です。当時の賃料は一坪10万円/月に迫るほどでしたが、現在は先週新規にオープンした『新丸ビル』では新規募集の段階では一坪6万円/月、『六本木ヒルズ』では一坪5万円台/月といわれています。

特にバブル崩壊後、10数年にわたり憂き目を見てきた不動産業界では、『空室率の高い時期に値下げして入居してもらったテナントに値上げを切り出しにくい』との声もあるようです。

まとめますと、現在の不動産市場がバブルかどうかについては定かではありませんが、少なくとも過剰ともいえる将来の賃料の上昇を見越した不動産投資信託REIT市場の価格については、やや期待感が先行した価格になっていると思われます。

国内市場のみならず、世界的な不動産投資信託REIT市場の過熱感は長期金利のゆるやかな上昇と賃料の上昇という裁定が機能すれば『正常』といえますが、期待感のみで価格上昇というゆがみが何らかの形で是正
される可能性も十分にあると思います。

主要国では、退職世代の間で高利回りを求めた結果、不動産投資信託REITを買う動きが強くなっていますが不動産に直接投資するのではなく間接投資を行うことになるため、よりその他の金融商品との連動性が高まっている状況といえます。

今後、株式市場と不動産投資信託REIT市場との連動性を無視できない環境となる可能性が色濃くなっていると思われます。

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