2007年5月3日木曜日

不動産投資信託の恩恵を地方に

不動産証券化による不動産投資信託の過熱感は、都心部ではもう下がり始めているようですが、本当にその投資を必要としているのは、これからは地方のようです。



ワードBOX
(西日本新聞より引用)

不動産証券化

 証券を発行して資金を集めた会社がオフィスビルやマンションなどを取得し、賃料収入や転売利益を投資家に配分する仕組み。大都市で普及する不動産投資信託のほか、地元財界の出資で投資地域を九州に限定する福岡リート投資法人(福岡市)などもある。不動産証券化協会の調査では、大手の不動産会社や金融機関が設立した41投資法人の資産残高(取得価格ベース)は今年3月現在で約5兆7000億円。このうち約3兆5000億円は東京都内の物件で、一極集中状態にある。

不動産証券化地方圏で促進 国交省実務講習に助成
(2007年5月2日掲載)

 国土交通省は、三大都市以外の地方で、ビルやマンションなどの不動産を証券化して投資家に販売する市場の活性化事業を本格的に始める。宅地建物取引業者らに対し、業界団体などが実施する実務講習の一部費用を今月から助成。講習は今後、全国30カ所以上で開かれ、約1万人の参加が見込まれている。 証券化が普及し不動産取引が盛んになれば、地方の地価下落に歯止めがかかり、大都市との格差を縮める効果が期待できる。商店街の再生や街並み保存など、従来は役所頼みだったまちづくり事業を、住民や民間中心に転換する手掛かりにもなりそうだ。

 不動産投資信託(REIT)をはじめ証券化事業は現在、好況下で地価上昇が続く東京などに集中している。一方、地方は資金だけでなく、宅地建物取引業者、不動産鑑定士、弁護士など、取引にかかわる実務や法律面の手続きをこなせる専門家が少ない。 国交省の活性化事業では、東京23区、名古屋市、大阪市以外を対象に「まず、人材とノウハウの蓄積」(不動産業課)を進め、投資を地方へ呼び込む基盤を整える。 具体的には実務講習への助成のほか、実際に証券化の仕組みを使う市街地再開発計画などに対し、国交省が不動産鑑定の費用などを助成する代わりに、証券化の実施過程のノウハウを調査、分析し、公開する事業を行う。国交省の募集に対し、既に約10事業者が名乗りを上げており、月内に事業者を決定する。

●まちづくりに 利用の動きも

 「シャッター通り」に象徴される、中心市街地の衰退問題は多くの地方都市にとって悩みの種。国や自治体の財政難を背景に、民間主導で不動産証券化を新たなまちづくりに利用する動きが各地で動き始めている。 秋田市で今月、駐車場や資材置き場になっているJR秋田駅に近い約5ヘクタールの土地について、有効な活用方法を考える研究会が発足する。メンバーは地元の自営業者や不動産関係の専門家。具体的な青写真作りはこれからだが、不動産証券化も検討課題。実務講習に助成する国土交通省の活性化事業も利用する予定だ。

 研究会にオブザーバーとして参加する同市の中沢篤志都市整備部長は「他市に先行すれば、都市間競争に打ち勝てる」とした上で、証券化の仕組みが「地域活性化にも役立つはず」と期待する。

 証券化で地域の「宝物」を守り、生かすケースもある。京都市の不動産会社などは昨年、昔ながらのたたずまいを残す京町家三軒を証券化。取得費用1億500万円のうち、5500万円を公募したが、最終的な申し込みは7000万円を超した。現在はレストランなどが入居し、営業している。

 証券化を手掛けた京都不動産投資顧問業協会は「あくまでも投資なので、リスクが伴う」と投資家に注意を促しながらも、「まちづくりにとって、資金調達の有効なツール」と指摘している。

 不動産証券化協会は「規模が小さく、競争相手も少ない地方に目を向け、事業展開する投資法人も増えてきた」と指摘しており、地方にとって追い風になりそうだ。

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